白球を追う季節

照りつける陽射しの下、土の匂いと白球の音が混ざり合う。これほど、季節のはじまりと終わりを告げてくれるスポーツは他にない。地方予選の開幕で「夏が来た」と感じ、甲子園の決勝が終わる頃に風が涼しくなる。風の温度も、空の高さも、何ひとつ変わっていないのになぜか心の奥にひとつ、季節が静かに区切られる。